家庭菜園を始めると苗を自分で育ててみたくなりますよね…!ですが、「苗の育て方が分からない」「育苗でよく失敗してしまう」「水やりの頻度はどのくらいが良いの?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、苗の育て方・育苗方法について、家庭菜園初心者向けに分かりやすく解説します。
この記事を読んで、一緒に苗を育ててみましょう!
苗を育てる方法
育苗とは、「種から苗を育てる」ことです。
ホームセンター等で苗を購入したり、畑やプランターに直接種を蒔くのではなく、ポリポットやセルトレイなどの育苗専用の容器を使ってある程度の大きさまで苗を育てます。
ポリポット育苗とセルトレイ育苗の2通り


育苗にはポリポット育苗とセルトレイ育苗の2通りあります。
少しだけ育苗する場合はポリポット、たくさん育苗したい場合はセルトレイがおすすめです。育苗したい量に応じて選んでください!
家庭菜園で苗を育てるメリット3つ
家庭菜園で育苗するとどんなメリットがあるのでしょうか?そのメリットを順番に説明します!
①メジャーではない野菜や品種を育てられる

ホームセンター等で販売されている苗は、大半がメジャーな品種です。マイナーな野菜や品種は取り扱っていないことが多いため、苗からの栽培だとどうしても種類が限られてしまいます。
一方で自分で育苗すれば可能性は無限大!ホームセンター等では出回らないような野菜やマイナーな品種にもチャレンジすることができますよ!
②種から苗になるまでの成長過程を学べる

自分で育苗をすると、種まきから発芽、本葉が出て根が張っていくまでの成長を間近で見ることができます。時には「なかなか発芽してくれない」「ヒョロヒョロと徒長してしまった」と失敗することもありますが、それも含めて経験することで、「次はこうしてみよう」と工夫できるようになり、栽培全体のレベルアップにつながります!
金太郎苗を買うより愛情が湧くので、より大切にしようという気持ちにもなる。
③苗代を節約できる
最近、苗代も昔と比べて徐々に上がってきていますよね…。例えばトマト苗は一つで300〜400円するものもあります。ある程度の本数を育てる場合は、苗代だけでもかなりの金額になるでしょう。
自分で育苗すれば、主にかかる費用は種代と育苗培土代のみ!苗代を節約できるのも嬉しいポイントです。
育苗に必要なもの
- 育てたい種
- ポリポット(直径9cmまたは10.5cm)/セルトレイ(128欠または200欠)
- 育苗箱または育苗トレー
- 育苗培土
- ジョウロ
- ラベル・ピンセット(あれば便利)
苗の育て方6ステップ
苗の育て方の具体的なステップは以下のとおり。順番に詳しくご紹介していきます!
①育苗培土の準備






まず、用意した育苗培土に少し水を含ませてかき混ぜます。これを2~3回繰り返して育苗培土全体に適度な水分を行き渡らせます。



なんでこんな面倒なことするの?



これをやらないと、水が弾かれてしまって培土の中に染み込みにくい。




水を含ませたら、ポリポットまたはセルトレイに育苗培土を入れます。
②種まき




種を蒔くための穴を指先で軽く掘ります。穴の深さとしては、種の直径の3倍くらいが目安です。例えばコマツナのような小さ目の種であれば1cm程度、トウモロコシのような大きい種は2~3cm程度といった具合です。




種を蒔きます。基本、ポリポットには3粒ずつ、セルトレイには1粒ずつ(葉物野菜は3粒ずつ)が目安ですが、育てたい野菜によって調節します(各野菜の育て方解説記事をご覧ください)。




覆土(上から土をかける)をして鎮圧します。その後、上から水をたっぷりあげてください。
ちなみに、覆土の代わりに「イネニカ」を使うとガッチリ頑丈な苗に育ってくれるのでオススメですよ!詳しくは以下の記事で解説しています。
③発芽適温を確保する
発芽には適度な「水分」「温度」「酸素」が必要です。「水分」は常に土が湿った状態となるよう、こまめに水やりすればOK!「酸素」は空気中にあるので特に気にしなくても大丈夫ですが、この3つの条件の中で特に難しいのが「温度」です。
まず、こちらの表をご覧ください。主な野菜の発芽適温を示した表になっています。
https://www.takii.co.jp/tsk/hinmoku/tokusei/主要野菜の発芽適温の目安
濃いオレンジ色がそれぞれの野菜の発芽適温です。気温がこのくらいであれば、特に問題ありません。そのまま屋外に置いて発芽を待ってください。問題なのは、真冬や真夏での育苗です。これらの時期に屋外に置いておいては発芽適温を確保できず発芽してくれません。
冬から春にかけて、トマトやナスなどの夏野菜を”少し”育苗するなら「愛菜花」、”多めに”育苗するなら「農電園芸マット&農電サーモ」で保温するのがオススメです!詳しい使い方は以下の記事で詳しく解説しています。
一方で、真夏は暑さ対策や遮光ネット「クールホワイト」を被せるなどして、何とか温度上昇をさせない工夫が必要になってきます。真夏の育苗の暑さ対策やクールホワイトの使い方については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください!
④病害虫対策


種が発芽すると、どこからともなく害虫がやってきます。発芽したての苗は病害虫に一番弱いタイミングですので、予めしっかり対策をしておく必要があります。
家庭菜園でも出来るおすすめの病害虫対策は以下のとおりです。
- 「防虫ネット」で育苗ハウスを作る
- 「プレバソン」を散布する
防虫ネットを張ると害虫の侵入を物理的に防ぐことができます。簡単に自作できて病害虫にも強い「育苗ハウスの作り方」は以下の記事で詳しく解説しています。
それでも害虫を防ぎ切れない場合は、殺虫剤を散布します。育苗期に散布できるものは限られてきますが、家庭菜園でオススメしたいのは「プレバソン」です!幅広い野菜の育苗期に使用可能で、浸透移行性のため水やりしても効果が持続しやすく、頻繁に水やりする育苗期にピッタリです。プレバソンの使い方は以下の記事で詳しく解説しています。
⑤間引き
発芽が揃ったら、成長段階に応じて間引きしていきます。間引きのタイミングは野菜によって異なりますが、基本的には以下のとおりです。
1回目(3本→2本):子葉(発芽して一番最初に出る葉)が開いた頃
2回目(2本→1本):本葉(子葉の後に出る葉)が2~3枚出た頃




間引きする際は、ハサミを使います。間引く株の根元をハサミでカットすると、残す株の根を傷つけずに済みます。
⑥苗の完成の目安




野菜の種類にもよりますが、ポリポットの場合は本葉4~5枚の頃、セルトレイの場合は本葉2~3枚で完成です!畑やプランターに植え付けましょう~。



自分で育てた苗、めっちゃ愛おしい…!
苗を植え付ける際は、リキダスを薄めた水をたっぷりあげると活着が良くなります!詳しくは以下の記事で解説しています。
失敗しない!育苗のコツ3選
続いて、育苗するにあたって初心者にお伝えしたい育苗のコツを3つご紹介します。
①覆土は”しっかり”鎮圧する


覆土をしっかり鎮圧(上からしっかり押さえつける)すると、土の粒子がギュッと近づいて隙間が狭くなり、毛細管現象が働きます。毛細管現象とは、重力に逆らい、液体が細い管や狭い隙間を浸透していく現象のことで、水分が下の方から鎮圧した上の方へ水分が流れ、種の周りが湿った状態に保たれやすくなります。
このように、覆土をしっかり鎮圧することで、発芽に必要な水分を確保することができます!
②水やりの頻度は発芽前後で変える
天気や季節にもよりますが、水やりの頻度の目安は以下のとおりです。
種まき~発芽まで:1日2~3回
発芽後:基本、朝1回たっぷりでOK!
発芽するまでは種の周りが常に湿った状態となるよう、1日2~3回を目安にこまめに水やりをしてください。雨や曇りの日は1日を通して水やりしなくて良い場合もありますが、真夏の晴れの日はすぐに乾燥してしまいます…。天気や季節にも左右されますが、土の状態を良く観察しながらこまめに水やりをしてください。



要は「土が常に湿った状態」になっていればOK!
一方で、発芽した後は基本、朝1回たっぷり水やりすればOK!水が多すぎると、「徒長」の原因になるので、夕方ごろに土の表面が少し乾き気味になるくらいでちょうど良いんです。やや乾燥気味で管理することで徒長を防ぎ、ガッチリした良い苗に育ってくれますよ!
徒長の原因や対策については、以下の記事で詳しく解説してます。あわせてご覧ください!
③新聞紙で傷や乾燥から根を守る
苗が成長してくると、ポリポットやセルトレイの下の穴から根が飛び出してきます。根をその状態のままにしてしまうと、以下のようなデメリットがあります。
- 育苗トレーと接触して傷つきやすくなる
- 乾燥しやすくなる
根に傷がつくと傷口から病原菌が入り、病気にかかりやすくなる他、乾燥するとその後の成長が鈍くなったり、畑やプランターに植え付けた際に活着が悪くなります。




そこでオススメなのが新聞紙!ポリポットやセルトレイと育苗トレーの間に新聞紙を敷くと緩衝材の役割を果たし、根を傷や乾燥から防ぎやすくなります。
育苗する上で知っておきたい注意点2つ
ここまで苗の育て方・育苗方法やコツなどを解説してきましたが、育苗する上で知っておきたい注意点がいくつかあります。
①徒長するとリカバリーは難しい


農家には昔から「苗半作」ということわざがあります。「苗の出来が良いと、半分は成功したも同然」という意味です。
ただ、裏を返せば「苗の出来が悪いと、半分は失敗したも同然」ということです。特に気を付けたいのが徒長!徒長とは、野菜の節間が必要以上に間延びしてヒョロヒョロとした状態のことです。苗が徒長してしまうと「折れやすくなる」「生育が悪くなる」「病害虫が発生しやすくなる」など良いことはなく、まさに「半分は失敗したも同然」です。
そんな徒長の対策方法や復活させるテクニックについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください!
②防虫ネットの上からでは水がかかりにくい


水やりの際、防虫ネットの上から水やりすると、水が両端へ水が流れてしまい上手く苗に届かないことがあります。特に暑さで乾燥しやすい夏場は要注意!苗に水がしっかりかかっていないと、すぐに萎れてしまいます…。
面倒ではありますが、洗濯バサミを外して防虫ネットを端からめくって直接、苗に水やりをすると確実ですよ!



水やりしたつもりが、実はかかっていなかった!なんてことが夏場に起こると一番怖い…
まとめ:育苗で大切なこと
ここまで、苗の育て方・育苗方法をご紹介しました。
- 育苗とは「種から苗を育てること」で、ポリポット育苗とセルトレイ育苗の2通り
- 育苗すると、メジャーではない野菜・品種にチャレンジでき、苗代も節約できる!
- 発芽には適度な「水分」「温度」「酸素」が必要
- 発芽後の水やり頻度は基本、朝1回。やや乾かし気味で徒長を防ぐ
最初は苗を購入して家庭菜園をするでも、もちろんOK!家庭菜園に慣れてきたら、育苗からチャレンジしてみると楽しいですよ!
ぜひ本記事を参考に、自分で苗を育ててみましょう!


