トマトやナス、ピーマン等といった夏野菜を栽培するには、まず苗を購入するのが一般的ですよね。初心者には苗からの栽培がオススメですが、慣れてきたら種からチャレンジしてみませんか?苗を購入するより安価で大量に作れますし、ホームセンターには売っていないようなちょっと珍しい品種も栽培できます。何より育苗自体が楽しいですよ!
今回は、中々手を出しづらいであろう夏野菜の育苗方法についてご紹介します!
種まきスケジュール

ナスやピーマン類、トマトなどの夏野菜は4月下旬~5月上旬のゴールデンウィーク前後に苗を植え付けることを目指します。育苗期間は品目によっても異なりますが、ピーマン類は45~60日前後、トマトは55~65日前後、ナスは60~80日前後を要しますから、逆算して上記カレンダーの期間内にそれぞれ種まきをしていきます。

そんなに早く種を蒔いても、寒すぎて発芽しないんじゃないの?

もちろん、夏野菜にはそれぞれ発芽適温というものがある。2~3月は寒すぎてそのままでは発芽しない。では、どうすれば発芽してくれるか説明していくよ!
夏野菜を発芽させる条件

そもそも野菜に発芽してもらうには、どんな条件をクリアする必要があるのでしょうか?
一般的には、発芽の三要素として「水分」「酸素」「温度」が必要とされています(野菜によっては光の影響を受ける場合も)。このうち「水分」は水やりすれば良いですし、「酸素」は空気中にありますが、問題は「温度」です。夏野菜の発芽適温は25~30℃である一方、種まき時期である2~3月は気温が低いですから、そのままでは発芽してくれません。
そこで活躍してくれるのが「育苗器」です!育苗器に内蔵されているヒーターが、寒い冬でも地温を発芽適温まで上げてくれるんです。家庭菜園用に市販されているものもあるので、ぜひ利用してみてください!
必要な資材
夏野菜の育苗に必要な資材は以下のとおりです。初期投資はそれなりに発生しますが、苗を買ったら買ったで安くはありません。長い目でみて検討しましょう!
- 育苗器
- 川砂(2リットル程度)
- 種まき培土
- セルトレイ(200欠)
- ミニ地温計
- 育苗マット&電子サーモ
- ポリポット(直径9cm程度)

以下でオススメの商品を紹介していくよ!
育苗器


オススメの育苗器は「愛菜花」。幅540×奥行405×高さ190mmとコンパクトで室内に置けるし、地温調節ダイヤルで簡単に温度調節できて管理しやすい!
川砂(2リットル程度)

種まき培土

セルトレイ(200欠)

ミニ地温計


育苗器で設定した温度と実際の地温には若干差異がある場合がある。しっかり地温が発芽適温となっているか確認すべく、地温計を差し込んでおくと安心だよ!
育苗マット&電子サーモ


育苗器で本葉2枚ほどになったら鉢上げする際には大きいポリポットに移植するため、その後の育苗ではより広い面積の保温が必要となる。そこで活躍するのがこの育苗マット!電子サーモと組み合わせることで、夏野菜たちの育苗期の温度調節を自動化してくれる。
ポリポット(直径9cm程度)
種まき

まずは育苗器の準備です。本体からの熱を無駄なく伝えるため、まずは黒いトレイの上下にそれぞれ川砂を2cmほど敷きます。

続いて200欠のセルトレイを育苗器のトレイにちょうど入るようにカットします。8×10穴でピッタリですので、それを2つ用意します(最大で160苗)。そこに種まき培土を適量入れたら種を蒔きます。

夏野菜の種はビックリするくらい高いです…。間引きするのはもったいないので1穴に1粒ずつ、ピンセットで確実に蒔きましょう!その後、下から滴るくらいまで水をたっぷり上げてください。

例えばトマトには一粒100円以上する品種もあるからね…。慎重にね…。

水やりが終わったらセルトレイを育苗器に入れ、フードを被せます(換気窓は閉める)。本体プラグをコンセントに挿しこみ、地温調節ダイヤルをセットすれば完了です!日当たりの良い場所に置き、暖かく見守りましょう~。

セルトレイは川砂にねじ込むように入れると、熱効率が良くなるよ。

ヒーターで地温を25~30℃まで上げると、フードは被せるものの、培土がすぐに乾いてしまいます!発芽の三要素の一つは「水分」でしたね。常に適度な水分が保たれるよう、こまめに霧吹きで水やりをしましょう。
また、小型の地温計を複数個所に挿しておき、実際の地温を確認できるようにしておくと良いですよ。中央部や四隅で温度に差異があったりするので、それに気づき、すべての場所で可能な限り適度な地温となるように心がけましょう!

やはり四隅は温度が上がりにくいね。定期的にセルトレイを回転させると良いかも。
発芽

種まきから1週間ほどで発芽します!お前、なんでそんなに可愛いんだ…。その殻、取れないなら取ってあげようか…?
発芽しましたら、昼間はフードを外して十分に日光を浴びせ、夜はフードを被せて保温するようにしてください。これを繰り返すとともに、引き続き霧吹き等で水やりをしていきます。

昼間もフードを被せっぱなしだと、徒長の原因になってしまうので気を付けよう。
鉢上げ

種まきからおよそ3週間で本葉が2枚ほどになります。ここまで成長すると、200欠のセルトレイでは手狭です。そこで、小さなセルトレイから大きなポットへ植え替える”鉢上げ”を行います!

予め直径9cm程度のポリポットに適量の育苗培土を入れておき、セルトレイから慎重に引き抜いた苗を移植します。こちらの大きいポリポットでさらに大きくなってもらいます!移植後は先の育苗器には入りませんので、育苗マットの出番です!

育苗マットを広げるとこんな感じ。この育苗マットの上に苗を置いて、保温しながらさらに育苗していきます!
下に断熱材を敷くと地面の温度が直に伝わらないので、熱効率が良くなります。

育苗マットには電子サーモの併用をおすすめします!例えば、設定温度を25℃にしたければ、この電子サーモが25℃付近で温度を一定に保ってくれます。面倒な温度調節を自動化してくれるので便利ですよ。

育苗マットのプラグをこの電子サーモのコンセントに差し込めば良いんだね。

諸々準備が完了しましたら、育苗マットの上に苗を置きます。ここでさらに1か月ほど成長してもらいます。引き続き、水やりも忘れずに!

育苗マットは防水仕様だけど、気になる場合はマルチなどで覆っても良いね。傷や汚れも付きにくくなるよ。
育苗完了!

種まきから2か月ほどでこんな感じ!本葉7~8枚ほどで蕾が見えてきたら植え付け適期です!気温が十分に上がり、遅霜の心配が無くなったら畑に植え付けましょう!

夏野菜の育苗ってこんなに大変なんだね…。

初心者やそこまで手間暇かける余裕が無ければ、ホームセンター等で購入するのが良いと思う。ただ、栽培に慣れてきたら是非チャレンジしてみて!野菜たちへの愛がさらに増すこと間違いなし!
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