カボチャの空中栽培は、支柱とネットを使ってツルを上方向(空中)に誘引していく方法です。そのため、あまりスペースの無い家庭菜園やベランダでも栽培しやすいですし、実が地面に触れないので綺麗に仕上がります!
本記事ではカボチャの空中栽培について、家庭菜園初心者でも失敗しない育て方を分かりやすく解説します。

この記事は、以下のような人におすすめ!
- カボチャを空中栽培で育ててみたい
- おすすめ品種を知りたい
- 病害虫対策に困っている
この記事を読んで、一緒にカボチャを育ててみましょう!
かぼちゃってどんな野菜?

カボチャはウリ科野菜の一つ。植え付けるとあれよあれよという間にものすごい勢いでツルを伸ばしていきます。そのツルにいくつかカボチャを実らせて収穫します。
家庭菜園初心者にカボチャ栽培をおすすめする理由3つ
カボチャは家庭菜園初心者にもぜひオススメしたい野菜の一つ。その理由を順番に説明します!
生育旺盛で病害虫に強い

カボチャを一言で言うと、「強くてたくましい野菜」です。
ある程度放っておいても、カボチャが自らぐんぐん成長していきます。病害虫にも強く、管理は楽な方です(とはいっても、発生するときは発生しますが)。
高温多湿にも耐える
最近の夏はとても暑いですよね…。真夏に栽培をする場合は、35℃以上の猛暑日が続いても耐えられる野菜を選びたいところ。
そんな中、暑さが得意という訳では無いですが、カボチャは比較的高温多湿にも耐えてくれます。
日本の真夏を耐えられる野菜としてもオススメできますよ!
長期保存できる

家庭菜園をしていると、「自分たちでは食べきれない程できちゃった」なんて経験ありませんか?せっかく育ってくれたのに、食べ切れないともったいないですよね。
ただ、カボチャは心配ご無用!なぜならば、カボチャは収穫後に長期保存できるからです。上手く保存できれば冬まで貯蔵できるので、作り過ぎてもOK!
カボチャの栽培時期

【栽培期間:3ヶ月】
カボチャはゴールデンウィーク前後に定植して、7〜8月頃に収穫するのが一般的です。
低温に弱いため、遅霜の心配がなくなってから種まき、定植するようにしましょう!
カボチャ栽培で準備するもの
- カボチャの苗(本葉3~4枚程度でガッチリした苗)
- 元肥
- 堆肥 … 4.5~6ℓ/㎡
- 化成肥料 … 100g/㎡ (または有機発酵肥料 … 200g/㎡)
- かき殻石灰 … 100g/㎡
- マルチ(おすすめはシルバーマルチ)
- ネット(菱目24cm程度)
- アーチ式支柱(おすすめは亜鉛メッキスチール仕様のパイプ)
(種から育てる場合)
- カボチャの種
- ポリポット(直径10.5cm)
- 育苗培土
(プランター栽培の場合)
- プランター(1株あたり縦30cm×横30cm×高さ30cm程度)
- 培養土
おすすめ品種

500g程度、手のひらサイズのミニカボチャがたくさん収穫できる!空中栽培やプランター栽培におすすめな品種!

うどんこ病耐病性の品種。カボチャは病気に強い野菜だけど、耐病性があると心強い。皮は黒めで味も美味しい。
カボチャの育て方8ステップ
カボチャの具体的な育て方は以下のとおり。順番に詳しくご紹介していきます!
1.育苗(種から育てる場合)
【育苗期間:1か月】
カボチャを種から育てる場合の育苗方法を説明します。
- STEP①種まき
【発芽適温:25~30℃】
用意したポリポット(直径10.5cm)に育苗培土を入れ、種を1~2粒ずつ蒔く。覆土をして水をたっぷりやり、ビニールハウスや育苗マットで発芽適温を確保する。
- STEP②間引き
種まきから1週間ほどで発芽します。本葉1枚が出た頃に、成長の良い株を1本残して残りを間引きます。
- STEP③育苗完了
本葉3~4枚になったら植え付け適期です。畑に植えつけましょう!
2.土づくり
「1.育苗(種から育てる場合)」と並行して土づくりをしておきましょう。
- STEP①元肥をすき込む
植え付けの1週間前までに以下の肥料をすきこみます。
元肥- 堆肥 4.5~6ℓ/㎡
- 化成肥料 100g/㎡(または有機発酵肥料 200g/㎡)
- かき殻石灰 100g/㎡
- STEP②マルチを張る
幅65cmの畝を立て、その上に幅95cmのマルチを張っておきます。
おすすめはシルバーマルチ。ウリハムシが近寄りにくくなります。黒マルチを張ると、まだ気温が低い生育前半の地温を確保しやすくなり、初期生育を促進させることができます。
時間があれば「太陽熱養生処理」をしておきましょう!詳しく解説している記事がありますので、参考にしてみてください。

太陽熱養生処理をすれば、あっという間に団粒構造の発達した”良い土”ができるよ!
3.植え付け
霜の心配が無くなったら、いよいよカボチャの植え付けです!
- STEP①カボチャ苗を用意
「1.育苗(種から育てる場合)」で自ら育苗、もしくはホームセンター等で購入するなどして定植する苗を用意します。
いずれにしても、カボチャの苗を選ぶ際は「本葉3~4枚程度で節間が短く、ガッチリとした苗」を基準にしてください!
- STEP②植え付け間隔
カボチャはかなりの面積を必要とするので、1m間隔で植え付けます。
- STEP③植え付け
植え付け間隔を決めたら、定植するための穴を掘ります。そこにたっぷりと水をやり、水が引いたら用意した苗を定植してください。
金太郎この時、水に「リキダス」を混ぜると活着が良くなるよ。
4.支柱立て&ネット張り
定植したカボチャが畑に活着すると、ツルをどんどん伸ばしながら成長していきます。空中栽培では支柱とネットを設置して、カボチャのツルを誘引していきます。
- STEP①支柱を立てる
カボチャなど大きい実が成るウリ科野菜は「アーチ式支柱」がオススメ。大きい果実が実っても耐えやすい構造。大きさにもよるが、アーチの中に入って作業できるのも嬉しい。
※イボ支柱でも可(長さ210~240cm×太さ16~20mm)
- STEP②ネットを張る
立てた支柱にネットを張ります。これが中々難しいのですが、菱目が正方形となるように端から順に張っていくと綺麗に張れますよ!
5.3本仕立て
カボチャでオススメな仕立て方は「3本仕立て」。カボチャには親づるより子づるの方に実が付きやすい性質があるので、親づるを早々に摘芯して、子づる3本で仕立てます。
- STEP①摘芯
親づるを5~6節で摘芯します。
- STEP②子づるの選定と誘引
摘芯するとわき芽が伸びてきます。生育の良いわき芽3本を子づるとして選定し、それぞれ30cm程度間隔を空けてネットに誘引してください。
※選定しなかったわき芽や孫づる(子づるのわき芽)は全て取り除く
- STEP③摘果と着果位置
カボチャを実らせるにはかなりの養分が必要なため、実の数を制限します。子づる1本につき普通のカボチャは1果、ミニカボチャの場合は2~3果までが目安。それ以外は摘果します。
なお、着果させるのは10節目以降が良いです。着果させたい雌花には人工授粉をして確実に受粉させましょう!
金太郎10節目より前に付いた実は甘くなりにくいため、摘果する。
- STEP④摘芯
あまり高くまで成長すると管理が大変ですから、届かなくなったら摘芯して成長を止めてしまってください。
6.人工授粉
カボチャは雄花と雌花が別々に咲くため、受粉が必要です。放っておいても虫たちが自然と花粉を運んでくれますが、狙った個所に確実に実をつけるには「人工授粉」をしておくのがオススメ。
カボチャは朝に開花するので、人工授粉は朝9時までに行いましょう!
- STEP①雄しべを用意
開花した雄しべを摘み、花びらを取り除く。
- STEP②雌しべにこすりつける
受粉させたい雌しべに用意した雄しべをポンポンと軽くこすりつける
金太郎人工授粉した日を記録しておくと、後の収穫適期を見定める際に参考となる。
7.病害虫対策
カボチャは病害虫に比較的強い野菜ですが、発生するときには様々な病害虫が発生します。
家庭菜園では以下の病害虫を抑えておけば何とかなるでしょう。
うどんこ病

葉に発生する糸状菌(かび)による病気で、葉に白い粉をまぶしたように白い粉状のカビが発生するのが特徴。初期は小さい斑点ですが、放っておくとあっという間に株全体に広がっていき枯れてしまいます。
- うどんこ病に耐病性のある品種を選ぶ
- チッソ肥料は控えめに
- こまめに摘葉する
品種を選ぶ際には、うどんこ病耐病性があると発生しにくい。なお、チッソが多すぎると耐病性が低下して発生しやすくなるため、入れ過ぎには注意しましょう!
※うどんこ病耐病性の品種はこちらでご紹介しています。
また、葉茎が混み合っていても発生しやすいです。選定しなかった子づるや孫づる(子づるのわき芽)は全て取り除くなどして、風通しと日当たりが良い環境を整えてあげましょう!

農薬を使う場合は、「ダコニール1000」がオススメ。
ウリハムシ

【重要指名手配犯】
体長7mmほどで黄褐色の甲虫。ウリ科野菜のエリアに足を踏み入れるとブンブン飛び回る虫で、葉をリング状に食害されます。根を食害する幼虫も厄介。放っておくとウリハムシの楽園になりかねません…。絶対に許さん。
- シルバーマルチを張る
- 捕まえて殺す
ウリハムシは光の反射を嫌うため、シルバーマルチにすると寄り付きにくくなりますよ。
それでも発生する場合は捕殺しましょう!特に朝は動きが鈍いので、捕まえやすいですよ。

農薬を使う場合は、「アディオン乳剤」がオススメ。
8.収穫時期の見分け方

カボチャの収穫時期はヘタのコルク化具合と受粉後の日数で判断します。
受粉後、普通のカボチャは45~50日程度、ミニカボチャは40日程度が目安。その頃にヘタが半分以上茶色く(コルク状に)なっていたら収穫適期です!日数が経過してもヘタが十分に茶色くなっていない場合は、もう少しおいてから収穫してください。
追熟すると甘くなる

【追熟期間:1週間以上】
収穫直後のカボチャは甘くないので、少なくとも1週間はそのまま保存しておきましょう。
保存している間にデンプンが糖に分解され、甘くて美味しいカボチャになりますよ!風通しの良い場所で上手く保存できれば、2~3か月は長期保存できます。
まとめ:カボチャ栽培で大切なこと
ここまで、カボチャの育て方をご紹介しました。
カボチャは病害虫や高温多湿に強く、家庭菜園初心者でも育てやすい野菜
霜の心配が無くなるGW前後に定植
子づるを3本選定し、ネットに這わせる
子づる1本につき、普通のカボチャは1果、ミニカボチャは3果まで
ヘタが半分以上茶色く(コルク化)なったら収穫適期。1週間は追熟させる。
カボチャの空中栽培は省スペースでも可能で、家庭菜園初心者にもおすすめの栽培方法です。
ぜひ本記事を参考にカボチャを育ててみましょう!