カレーや肉じゃがをはじめ、家庭料理には欠かせない”ジャガイモ”。育てやすく、収穫後は長期保存もできてオススメの野菜の一つです。
今回は、ジャガイモの有機栽培・育て方をご紹介します!
ジャガイモとは…?
基本データ
科目 | ナス科 |
原産地 | アンデス高地 |
連作障害 | あり(2~3年あける) |
適正土壌酸度(pH) | 5.0~6.0 |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~24℃ |
南アメリカのアンデス山脈が原産とされており、大航海時代にヨーロッパ各地に伝わりました。日本へは東南アジアを経て16世紀に伝来。ジャワ島のジャガタラ(ジャカルタ)を経由して伝来したため、「ジャガタライモ」→「ジャガイモ」と呼ばれるようになったとか。
ジャガイモは「イモ類タイプ」の野菜に分類されます。以下で詳しく説明しているので、こちらもご覧ください!

栽培時期

中間地と暖地では春作と秋作の2作ありますが、オススメは春作です!秋作は、夏の暑さで種イモが腐りやすかったり、寒さ前に大きく仕上げることが難しかったりするので、オススメはしません。
おすすめ品種
ジャガイモは食感によって大きく2つに分けられます。自分の好みのタイプを軸に品種選びをすると良いですよ!
ホクホク系
肉質が粉質で、煮崩れしやすいのが特徴です。ですので、ポテトサラダやコロッケなどの”潰す”料理に向いています!

オススメな品種は「キタアカリ」!栗のようなホクホクとした食感と、ほのかな甘みがたまらない。カロテンやビタミンCもたっぷり!。個人的には、キタアカリであえて肉じゃがを作って、若干煮崩れし始めたくらいのドロっとした感じで食べるのが大好きなんだよね…。
しっとり系
食感がねっとりしていて、煮崩れしにくいのが特徴です。カレーや肉じゃがをはじめとする煮込み料理に最適です!


オススメな品種は「インカのめざめ」です!小粒ですが、しっかりとした甘さと中が黄色いことから”栗じゃが”とも呼ばれている。
メークインはそこらへんで売ってますからね、せっかく栽培するなら、あまり出回っていない品種にしようよ!
種イモの準備
浴光催芽(植え付けの1か月前)

浴光催芽とは、日光を浴びせて芽を出してもらうことです。芽が1cmほどの大きさになったら完了!必ずしもやらなければいけない訳ではないですが、浴光催芽をすると発芽が揃ってその後の生育がスムーズに進みやすくなります。また、後述しますが、植え付け前に種芋をカットする場合、芽の数はそろえた方が望ましいです。その際、芽がしっかり出ていた方が数えやすいというメリットもあります。
この時期の夜間は気温がかなり低いので、毛布をかけたり部屋の中央部などに置くなどして痛まないように注意しましょう。

注意点はある?

植え付けの1か月前となると、朝晩は気温がかなり低いよね。日光を浴びせるために外に出してそのままにしちゃうと種芋が凍ってダメになるから、室内に取り込んだり毛布をかけたりして防寒対策を忘れずに!
種イモのカット(植え付け当日)
種イモが大きい場合は、1片30g~40gほどの大きさになるよう切り分けます。ポイントは、芽の数をおおよそ同じになること。カットの角度を変えながら上手いこと切り分けましょう。
なお、この作業は朝一番に済ませておき、切り口を少なくとも半日程度は乾かしておきましょう。乾かないまま植え付けると腐敗につながる恐れがあります。

いちいちカットしなきゃいけないの?面倒くさいな。

インカのめざめなど、小ぶりの種イモはそのまま植え付けでOK。大きいイモもある程度で良いよ。
植え付け

種芋の準備が完了したら、植え付けです!ジャガイモを1列栽培するための畝幅は65cmとし、その中央に幅15cm、深さ15~20cmほどの溝を掘ります。

その溝に、種イモを30cmほどの間隔で置いていきます。自分の足の大きさを目印に、それより少し余裕を持たせて並べると良いでしょう。
切り口を上にするか、下にするかで様々な議論があります。迷ったら上にしましょう!
切り口を上にすると、芽はいったん下向きに出た後、上向きに方向転換して地上に目を出します。このようにカーブして地下茎が長くなるため、またここでかかるストレスなどによりストロンの数が多くなりやすいと言われています。また、弱い芽は出てこなくなるので芽かきの労力も少なく済みます。

種イモの間に、以下の堆肥と元肥を置いていきます。
- 堆肥200g/種イモ
- 魚粉主体の有機発酵肥料(追肥用)30g/種イモ
- ミネラル肥料20g/種イモ

土を埋め戻したら植え付け完了です。植え付けた場所が分からなくならないように気を付けてくださいね!なお、水やりの必要はありません。
芽かき&土寄せ

出芽後、3週間後くらいの芽が出そろったタイミングで「芽かき」をします。生育の良い芽を2~3本残して、それ以外を抜き取ります。
初めてやるとこれが結構難しいです。抜き取ろうとする芽が途中で折れてしまうと、わき芽が出てきてしまいます。途中で折れないよう、根元をしっかり押さえた上で抜き取るとスッと抜けますよ!

芽かきをしないとどうなるの?

イモの数は増えるけど、1個1個が小さくなるね。

芽かきが終わったら、土寄せをしましょう!畝の断面が「かまぼこ型」になるようなイメージで土寄せを行い、地下でしっかりとイモを肥大してもらう環境を作ります。少なくとも、イモができる位置の10cm以上の高さになるまで土寄せするといいですね。

まずい、土寄せをサボってジャガイモが緑色になっちゃったよ…。

ジャガイモに直接日光が当たると、その部分が緑色に変色し「ソラニン」という有害物質が発生するよ。小さすぎるイモにも発生したりする。これは食用にはできないので、土寄せは十分にしておこう!
基本的に追肥は不要です。元肥や堆肥からのチッソ分で栽培初期から開花期にかけてじっくり肥大させ、その後は肥効が切れるようにします。
収穫!

全体的に葉茎が黄色く枯れてきたら収穫のタイミングです!天気のいい日を選び、午前中に掘り取って、日中は天日に当てて乾かします。ある程度乾いたら土を軽く落として冷暗所で保存しましょう。
収穫してもジャガイモは生きています。イモを重ねて保存したり、ビニール袋などに入れて密封状態になると酸欠で腐敗の原因になってしまいます。紙の米袋は遮光性がありつつ、通気性もあってオススメ。ビニールに入れるなら、何箇所か穴を開けて換気できるようにするのがいいし、段ボールでも良いですね。水洗いすると長持ちしないので、土付きの状態で保存するようにしてください!
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