夏野菜の代表選手といえば、ナスですね!
炒め物や煮物、漬物はもちろんですが、何といっても油との相性が抜群!天ぷらや煮びたしにしてビールを片手にしたら、もう優勝です(笑)。イタリア系のナスはオリーブオイルやトマトソースとの相性も良いので、カポナータやパスタソース等にしても良いですよね。
今回は、そんな夏に欠かせない「ナス」の有機栽培・育て方をご紹介します。
ナスとは…?
基本データ
科目 | ナス科 |
原産地 | インド |
連作障害 | あり(4~5年あける) |
適正土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 23~30℃ |
ナスはインド原産で、高温多湿を好みます。日本での栽培では、高温は十分すぎるほどである一方、湿度の調整が難しいです。土は常に湿った状態となるよう、水やりを欠かさず行いましょう!
ナスは「実ものタイプ」の野菜に分類されます。以下で有機栽培・育て方のコツを詳しく説明しているので、こちらもご覧ください!
栽培時期

ナスは寒さに弱いので、植え付けはゴールデンウィーク前後、十分に気温が高くなり遅霜の心配が無くなってからにしましょう!植え付け後は約1か月半ほどで収穫でき、上手く栽培すれば霜が降りるまで収穫を楽しめますよ。
おすすめ品種

日本におけるナス栽培の歴史は古く、奈良時代にはすでに伝わっていたとされています。地方品種も数多くありますし、世界でみるとさらに多くの品種があります。

ナスの代表的な品種である千両二号からヘタや茎、葉からトゲを無くした改良種が「とげなし千両二号」!そのため、栽培はもちろん、収穫や調理がしやすいオススメ品種だよ。

これほど”純白”が似合う白ナスは他にあるだろうか…?普通の白ナスは少し緑がかったりするけど、「とろーり旨なす」は真っ白で柔らかく、加熱すると名前の通り「とろーり」とした食感を楽しめるよ!

真夏の畑で真っ白に光輝く君に惚れちゃったよ…。


鮮やかな紫色の長ナスで、油で炒めるとより際立つよ!ふわっとした食感が忘れられない品種。
土づくり

植え付けの1週間ほど前から土づくりを行いましょう。
畝幅は65cmとし、以下の肥料を鋤きこんでおきます。その畝に、幅95cmの黒マルチを張ります。
- 堆肥 2kg/㎡(C/N比が高いもの)
- 卵殻 200g/㎡
- 有機発酵肥料 250g/㎡
- ミネラル肥料 70g/㎡

ナスは水を好む一方で、酸欠には弱い野菜であることから、水持ちと通気性を確保しておくことが重要です。ですので、土づくりにおける団粒構造の発達は他の野菜と比べて特に意識する必要があります。C/N比の高い(20~25)堆肥を用いて、予め太陽熱養生処理をしておくと良いですよ!
苗の準備

気温が十分に上がり遅霜の心配が無くなったら、いよいよ植え付けです!本葉7~8枚ほどで蕾や一番花が付いていて、節間が狭くどっしりしている苗を選びましょう。ホームセンターやネット通販等で購入しても良いですが、栽培に慣れてきたらぜひ種からチャレンジしてみましょう!安く大量に作れますし、苗では出回らないようなちょっと珍しい品種も栽培できます。
夏野菜の育苗方法については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
植え付け

苗の準備ができましたら、45cm間隔に1列で植えていきます。この時、植え付けるために掘った穴に、一度水をたっぷりとあげましょう。水が引いたら、苗を植えて株元を軽く押さえてあげます。

植えたばかりの苗はまだ赤ん坊です。雨風に弱く、ちょっとしたことで折れてしまう可能性があります。苗から10cmほど横に支柱を立てて、誘引することで苗をしっかりと支えてあげましょう。この時、「茎に優しく、支柱に厳しく」が鉄則ですよ!
整枝・支柱の追加
植え付けから1か月ほど経つと主枝はもちろん、わき芽も含めて株全体が大きく成長してきます。ここで成長させる枝を整理する”整枝”を行うとともに、それを支える支柱も追加します。
ナスには大きく2つの仕立て方がありますので、それぞれご紹介していきます!
3本仕立ての場合

株数が少なく、マメに手入れできる場合は「3本仕立て」がオススメです!
3本というのは、主枝と1番花のすぐ下2つのわき芽のこと。主枝はまっすぐ垂直に、わき芽2つにはクロスするように支柱を差して誘引します。
それぞれの枝に支柱を立てて誘引できるので、実が成っても枝が折れにくいですし、近年多発する台風やゲリラ豪雨等の自然災害にも強いです。また、V字(2本)仕立てより収量が上がります。
V字(2本)仕立ての場合

株数が多く、マメな手入れが行き届かない場合は「V字(2本)仕立て」がオススメです!
2本というのは、主枝と1番花のすぐ下1つのわき芽のことです。3本仕立てから垂直の支柱を1本抜いたような形で支柱を差します。この様子が”V”の字に似ていることから、このような名前が付いています。
その後は成長の段階に合わせて横に紐を張ります。こうすることで、実が成っても紐が支えてくれますし、マメに手入れをしなくても管理ができます。3本仕立てと比較すると収量は落ちますが、それでもある程度の収量は確保できます。
一番果とり

一番果(最初につく実)がつきましたら、小さいうちにとってしまいます。もう少し大きく成長させてから収穫したいところですが、そうはいきませんよ!心を鬼にして、小さいうちに取ってしまいましょう。

どうして取っちゃうんだよ…。

実より枝葉の成長を優先させるためだよ。この段階では、ナスの株がまだ小さい。今後、たくさんの実をつけてもらうためには、まずは土台となる枝葉を充実させることが大事なんだ。
収穫!

植え付けから2か月ほどで、いよいよ収穫です!
君はなんて美しいんだ…。収穫したてのナスは皮に艶とハリがあります。スーパーに並んでいるものはたいてい収穫から2~3日は経っているものです。家庭菜園ならではの良さを楽しみましょう!
追肥・水管理


初収穫を終えてから、2~3週間おきに追肥を始めます。ナスは微量要素の欠乏症が出やすいため、早い段階で対処するように気を付けましょう。
- 有機発酵肥料 50g/㎡
- ミネラル肥料 20g/㎡
ナスは高温多湿を好み、水の要求量も非常に多いです。土は常に湿った状態となるよう、欠かさずに水やりしましょう!また、剪定した葉はあえて通路に落としておくと”マルチ代わり”となって乾燥を防いでくれます。
一方で、水をあげ過ぎて土が過湿になると酸欠となり、アオガレ病や根腐れを引き起こす可能性があるため注意しましょう。また、嫌気的な環境は土の腐敗を招きかねません。そうならないよう、酵母菌や乳酸菌たちに上手く働いてもらい、土壌病害抑制型の土壌にしておく必要があります。あらかじめそれらの菌の培養液を作っておき、水やりの際に混ぜると良いですよ。
また、アミノ酸肥料も酵母菌や乳酸菌が入っているものを選ぶのも良いですね。もちろん、自分で作っても良いですよ!
更新剪定

高温を好むナスでも猛暑には大きなダメージを受け、実つきが悪くなってきます。梅雨が明けた7月後半~8月前半頃、株全体が2/3~1/2ほどになるよう枝葉を思い切り剪定します。更新剪定から1か月ほどすると新しい枝葉が出てきて、株全体がリフレッシュし、”美味しい秋ナス”が次々と収穫できるようになりますよ。

秋ナスは嫁に食わせちゃいけないの?

その話には複数の説があるらしく、1.秋ナスは美味しいので嫁に食べさせるのはもったいない説、2.ナスには身体を冷やす効果があるため、姑が妊娠中のお嫁さんの身体を冷やさないようにと優しく気遣う意味で使われている説など。個人的には、秋ナスは硬くなるのでイマイチ…。
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