実ものタイプの有機栽培・育て方のコツ

野菜づくりのコツ

実ものタイプは「栄養成長と生殖成長が並行」「栽培期間が長い」が特徴です。これらを踏まえた土づくりや施肥管理を押さえておきましょう!

実ものタイプの特徴

栄養成長と生殖成長が並行

生育初期は一般的な野菜と同様に、栄養成長で葉を増やしながら光合成によって炭水化物の生産を増やしていきます。そして生育がある程度の段階までいくと、生産した炭水化物をもとに花をつけ、実を肥大させるという生殖成長を始めます。このように、栄養成長と生殖成長が並行し、実を収穫しながら株全体を成長させていくのが「実ものタイプ」の特徴です。

栽培期間が長い

一般的には5月上旬のゴールデンウイーク前後に苗を植え付け、短いものだとウリ科は7月いっぱいまで、長いものだとナス科は10月中旬ごろまで楽しむことができます。このように苗からでも3~5か月ほど、種から栽培する場合は、早いものだと2月中には種まきをする必要があることから、8か月ほど栽培期間があります。

上記のような特徴をもつ「実ものタイプ」の野菜たちのために、健康でのびのびと育ってもらえるような環境づくりを考えます。

土づくりと施肥

太陽熱養生処理

栽培期間が長いことから、養水分や空気をしっかりと蓄えられる土壌が必要です。そのためには、予め団粒構造を発達させておき、栽培期間中もそれを維持できるような土づくりが理想的です。

そこで、植え付け前には太陽熱養生処理をしておきましょう!実ものタイプの野菜たちの植え付けは5月上旬ですので、900℃程度の積算温度を確保するためには早め早めに始める必要があります。注意しましょう。

なお、施用する堆肥はC/N比が高い(15~25程度)ものにします。牛糞や馬糞が良いですよ。

元肥

石灰

石灰は、作物の細胞をつくるときに締めて硬くするように働きます。有機栽培を行うにあたり、病害虫を防ぐうえで欠かせない資材です。

実ものタイプの野菜は栽培期間が長いことから、肥効の長く、弱アルカリ性を示すものを選びましょう。卵殻や貝殻の有機カルシウムがオススメです。

チッソ

元肥チッソは他の野菜と同様に堆肥とアミノ酸肥料を組み合わせて施用します。アミノ酸肥料は、基本的にはC/N比の高い生殖成長タイプのもので構いません。

ミネラル

栽培期間が長いことから、ク溶性が中心のミネラル肥料にしましょう。ク溶性ならゆっくりと溶けて長く効かせることができます。元肥ではク溶性を中心にしつつ、ミネラル類の欠乏症が出た場合は水溶性のミネラル肥料を施用するよう考えます。

また、鉄分が入っている資材を選びましょう!というのは、鉄は呼吸に関連したミネラルで、不足すると下層の根から呼吸ができなくなり養水分の吸収が滞ってしまいます。ミネラル肥料を選ぶ際は、鉄分がしっかり含まれているかを確認しておきましょう。単肥の場合は、元肥ではク溶性の酸化鉄、追肥では水溶性の硫酸鉄が良いでしょう。

追肥

実ものタイプは栽培期間が長いことから、花や実が付く頃から追肥を始めましょう!

ここでは、元肥と同じくC/N比の高いアミノ酸肥料を追補することで炭水化物を充実させ、実の糖度やビタミン類を増加させるといったような、収量アップや品質向上を狙います。

ここで、アミノ酸肥料だけだとミネラルとのバランスが崩れることに注意します。アミノ酸肥料を追肥する前に、ミネラル肥料を追肥しておき、「ミネラル優先、チッソ後追い」となるようにしましょう。露地では、ミネラル肥料を追肥してから一雨降った後(灌水後)、アミノ酸肥料を追肥します。

頻度は野菜の状態も見ながら、2~3週間ごとで行います。

土は適度に湿らせておく

近年、トマト栽培などで糖度をあげるため、水を切る栽培方法が広がっています。

ところが、土を乾かすと有機チッソが硝酸に変わるため、せっかくの有機栽培のメリットが台無しになってしまいます。これが行き過ぎると、作物体内の炭水化物が減って、チッソ優先の育ちになり、収量・品質が低下し病害虫も増えます。また、土に硝酸が蓄積してくると、根が濃度障害を起こすこともあります。

ですので、土は適度に湿らせておくように心がけましょう。その程度は野菜ごとによって異なりますが、pFメーターを用いて1.8~2.5の適正範囲内を基準にすると良いです。このメーターが無い場合は、土を軽く握ると固まり、指で押すと崩れるくらいを目安にしても良いと思います。

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