冬から春にかけて育苗したいと思っても、「なかなか発芽しない」「夜の冷え込みが不安」と悩んでいませんか?そんな時に活躍してくれるのが、「農電園芸マット」と「農電サーモ」です!
農電園芸マットと農電サーモを使えば、冬~春でも安定した温度管理ができ、家庭菜園初心者でもプロ並みの苗づくりが可能になりますよ!本記事では、農電園芸マットと農電サーモの特徴やメリットに加えて、具体的な使い方と設定温度の目安、冬の育苗を失敗しないためのコツまで写真付きで解説します。
- 「農電園芸マット」「農電サーモ」の基本的な使い方と育苗での活用方法
- 野菜ごとの種まき時期と育苗スケジュール
- 家庭菜園でも失敗しない!種まき~育苗完了までの具体的な「農電園芸マット」「農電サーモ」の使い方
- 失敗しやすいポイントと対策4つ(徒長・低温・高温・順化)
農電園芸マットとは?冬の育苗に便利な電気式育苗マット

農電園芸マットとは、苗を下から温めることができる電気式の育苗マットです。マット内部のヒーター線が一定の温度になるように制御されており、トマト・ナス・ピーマンなど高温を好む夏野菜をはじめ、春~夏に植えつけする野菜全般の育苗に利用することができます。
金太郎が育苗してみて実際に感じた農電園芸マットの特徴や家庭菜園での育苗にピッタリなポイントをご紹介します!
①一度に最大90個の苗を育苗でき十分な広さがある
農電園芸マットはいくつかサイズがありますが、一番小さいサイズでも「0.9×1.8m(0.5坪)」と十分な広さがあります。これをポリポットや育苗箱ベースに換算すると…
- 一般的な育苗箱なら6つまで
- 直径9cm程度のポリポットなら90個まで(1つの育苗箱に15個×6つなので)
一度にこんなに育苗することができます!種類の違う苗を同時に育てたいときも、マットの上にズラッと並べられるため、限られたスペースで効率良くたくさんの苗を育てることができます!家庭菜園で「どうせなら多めに播いて予備の苗も確保したい」という人にとっても、嬉しいポイントではないでしょうか。
金太郎保管の際は三つ折りにしてコンパクトに折りたたむこともできる。
②濡らしても汚れてもOK!気兼ねなく使える
育苗に使うマットは、どうしても水や土で汚れがちですが、農電園芸マットは「土や水がかかる環境で使うこと」を前提に作られているので、多少濡れても、多少汚れても気にせず使えるので安心!水やりや、湿ったトレイ・ポットをそのまま載せるといった使い方がしやすく、「毎回ビクビクしながら扱う必要がない」のがメリットです。
汚れが気になったときは、育苗終了後に軽く拭き掃除をして乾かしておけば、翌年以降も繰り返し使うことができます。
③農電サーモとの併用で温度管理がラク
農電園芸マットは単体でも使えますが、「農電サーモ」と組み合わせることで、温度管理がぐっと楽になります!育苗でいちばん頭を悩ませるのが「温度が高すぎたり低すぎたりしないか?」という不安ですが、農電サーモを併用すれば一度設定温度を決めるだけで、自動的にオン・オフを切り替えてくれるため、こまめに見回りをしなくても一定の温度帯をキープしやすくなります。
サーモ(サーモスタット)とは?
「温度を一定に保つための自動スイッチ付き温度調節装置」のこと。周囲の温度をセンサーで測り、設定した温度より低ければ「オン」、高くなりすぎたら「オフ」にして、ヒーターなどの熱源を自動で切り替えてくれます。



家庭菜園にはなかなか時間が取れないし、農電サーモはあった方が良いな!
農電園芸マットを使った夏野菜の育苗スケジュール
そもそも、野菜の育苗にはどのくらいの日数が必要なのでしょうか?ここでは、主な夏野菜を例に育苗スケジュールを考えてみます。
| 夏野菜 | 育苗に必要な日数 |
|---|---|
| ナス | 80日 |
| ピーマン類 | 70日 |
| トマト | 60日 |
| スイカ・メロン・カボチャ | 40日 |
| キュウリ | 30日 |
※ 育苗日数はあくまで一般的な目安で、品種や環境によって前後します。
育苗期間は品目によって異なりますが、ナスは80日前後、ピーマン類は70日前後、トマトは60日前後といった具合です。夏野菜の植えつけ時期は、地域にもよりますが、家庭菜園では4月下旬~5月上旬のゴールデンウィーク前後を目標にするのが基本ですから、そこから育苗に必要な日数で逆算すると以下のような育苗スケジュールになります!


ナスやピーマンは生育がゆっくりなため、2月中には種まきを終えておきたいところです。トマトよりも少し早めに種まきしておくと、植えつけ時にちょうど良い苗の大きさに揃えることもできますよ!逆にウリ科たちは育ちが早いので、トマトやナスと同時期に種まきすると植えつけまでに大きくなりすぎてしまうことがあるので注意しましょう!
種まき後、1か月ほどで本葉2~3枚になります。セルトレイに種まきした場合は、ここでポリポットへ鉢上げ(植え替え)をして、さらに1か月ほど育苗すると植えつけ適期に仕上がるイメージです。



こんな寒い時期に種まきしなきゃいけないんだ、そりゃ育苗マットが必要だな!
農電園芸マットを使った育苗で準備するもの
- 農電園芸マット
- 農電サーモ
- 育苗培土
- セルトレイ または ポリポット(直径9cm程度)
- ジョウロ
- ビニールトンネル&ダンポール
- 断熱材
- 地温計(あると便利)
※ セルトレイのサイズは育てたい苗の数に応じて選んでください。
農電園芸マット・農電サーモはどこで売ってる?
農電園芸マットや農電サーモはホームセンターでも見かけますが、在庫にばらつきがあるので、確実に手に入れたい方にはネット通販がおすすめ!以下より購入いただけます。



色々なサイズ・性能があるけど、家庭菜園はこれらで十分OK!
農電園芸マット&農電サーモの使い方7ステップ(家庭菜園向け)
ここでは、家庭菜園初心者向けに、農電園芸マット&農電サーモの具体的な使い方と育苗手順を、写真つきで順番にご紹介していきます!
①農電園芸マットと断熱材を水平な場所に敷く


まずはマットを置く場所を決めます。電源が近くにあることが必須条件で、風が当たりにくく、水平で安定した場所を選ぶのがオススメ!
- 室内の床の上
- ビニールハウスの中
置く場所を決めたら、下が断熱材、上が農電園芸マットになるよう広げてください。断熱材は無くても良いですが、下に敷くと熱が床側に逃げにくくなり、効率よく苗を温めることができます。



断熱材が無い場合は、発泡スチロールや段ボールなど身近なもので代替できる。
②育苗容器に種をまきマットの上に並べる


続いて、育苗容器に育苗培土を入れ種をまきます。ポリポットの場合は1つに2~3粒ずつ、セルトレイの場合は1穴に1粒ずつが目安です。種をまく穴の深さは、種の直径の3倍くらいが目安です。その後、覆土をかけてしっかり鎮圧し、水をたっぷりやります。覆土をイネニカにすると徒長しにくくなるのでおすすめ!
種まきが終わったら、マットの上に置いてください。並べる時のコツは「なるべくすき間を空けない」です!すき間が大きすぎると、その部分の熱が無駄になってしまうので、なるべくすき間なく並べることで熱効率が良くなります。
③農電サーモを接続し、設定温度を調整する


農電園芸マットと一緒に使いたいのが、専用の温度コントローラー「農電サーモ」です。
基本的な流れは、
- 農電サーモの電源プラグをコンセントに差し込む
- 農電園芸マットの電源プラグを農電サーモに差し込む
という順番でつなぎ、農電サーモ側で温度を設定します。発芽適温は野菜によってそれぞれ異なりますので、個別の野菜の育て方記事を参考にしながら設定してください。
温度センサー(サーミスタ)は、マットの上に置いた育苗容器の土の中に設置すると、設定温度とのズレを減らせます!
④ビニールトンネルなどで保温環境を作る
マットで「下からの熱」を確保したら、上からの保温もしてあげると、より発芽しやすい環境になります!
例えば、
- マットを丸ごとビニールトンネルで覆う
- 育苗容器を透明なフタ付きケースに入れる(完全密閉は避ける
といった方法で、冷たい外気から苗を守ってあげましょう!トンネルの張り方は以下の記事で詳しく解説しています(防虫ネットをビニールに置き換えれば要領は同じ)。
あわせて、トンネル内に最低1つは温度計を置き、実際にどのくらいの温度になっているかを確認すると安心です!「設定25℃のつもりでも、実測では30℃近くまで上がっていた」というのは育苗あるあるなので、最初の数日はとくに、朝・昼・夜の温度をざっくりチェックしておきます。
⑤発芽後は温度・湿度を下げて徒長させない


種まきから1週間ほどで発芽します!どの野菜もそうですが、発芽の瞬間はめちゃくちゃ可愛いですね…。
発芽後も発芽前と同じように管理していては苗がヒョロヒョロと徒長してしまうので、発芽後は以下のように管理していきます。
- 発芽がそろったら温度を一段階下げる(例:30℃→25℃)
- 昼間はビニールトンネルを少し開けて換気する
- 水やりは土の表面が乾いてからにする(やや乾燥気味で管理)
温度・湿度が高いと徒長しやすいため、発芽後は温度を1段階下げるとともに、昼間はビニールトンネルを少し開けて換気してください(半分くらい開けるイメージ)。夏野菜は発芽適温は25~30℃と高いですが、発芽させてしまえば20~25℃もあれば十分です。
また、窓際など日当たりの良い場所に移動させて日光をたっぷり浴びせることも大切です。水やりは土の表面が乾いてからでOK!やや乾燥気味で管理するのが徒長させないコツです。



ビニールトンネルを開けるのは少し抵抗感があるかもしれないけど、結局徒長の原因になってしまうので気を付けよう!
⑥本葉2~3枚で鉢上げ(セルトレイで種まきした場合のみ)


種まきからおよそ3~4週間で本葉が2枚ほどになります!ここまで成長すると、セルトレイでは手狭です。そこで、小さなセルトレイから大きなポットへ植え替える”鉢上げ”を行います!
以下で鉢上げの手順を具体的に説明します!(最初からポリポットに種まきした場合は、この作業は不要)


直径9cm程度のポリポットに適量の育苗培土を入れておきます。


セルトレイから本葉2~3枚になった苗を慎重に引き抜きます。折れやすいので要注意!


用意しておいたポリポットの育苗培土に指で穴を開けておき、そこにセルトレイの苗を丸ごと植え替えします。植え替え後は水をたっぷりやります。この際、水にリキダスを混ぜると根の活着が早くなり生育がスムーズになります。
鉢上げが終わったら、再びマットの上に戻して保温を続けましょう!
⑦外気温に慣らす「順化」をしてから植えつけする


農電園芸マットの上でぬくぬく育った苗は、そのままいきなり畑やプランターに出してしまうと、外気温とのギャップで一気に弱ってしまうことがあります。そこで大事なのが、植えつけ前に行う「順化(ならし)」の工程です。
やり方は難しくなく、植えつけ予定日の1週間前くらいから、少しずつ外の環境に近づけていきます。具体的には、
- ビニールトンネルを開ける時間と開け幅を増やしていく
- マットの温度を少しずつ下げていく
という作業を数日かけて行います。天気の良い日は、マットの電源を完全に切った状態で、日中だけベランダや軒下など実際に植える場所に近い環境にトレーごと出してあげるのも効果的です。この順化の期間に、苗は「昼夜の温度差」や「風」に少しずつ慣れていき、結果として植えつけ後にしおれにくくなり、苗が丈夫に育ちやすくなります!
苗を植えつける際は、リキダスを薄めた水をたっぷりあげると活着が良くなります!詳しくは以下の記事で解説しています。



育苗ってこんなに大変なんだね…。



初心者やそこまで手間暇かける余裕が無ければ、購入してしまった方が手っ取り早い。ただ、栽培に慣れてきたらぜひチャレンジしてみて!野菜たちへの愛がさらに増すこと間違いなし!
農電園芸マット育苗で失敗しやすい4つの原因と対策
ここで、農電園芸マットを使った育苗で家庭菜園初心者が失敗しやすい4つの原因と対策をご紹介します!
①温度が高すぎると徒長しやすい
農電園芸マットは発芽・初期生育を助けてくれる反面、温度が高すぎると苗がひょろひょろと間延びした「徒長」になりやすいというデメリットもあります。特に、発芽までは高めの温度で一気に芽を出し、その後に温度を下げる調整をしないまま放置してしまうと徒長しやすいです。
対策としては、
- 発芽がそろったら設定温度を数度下げる
- 昼間はビニールカバーを少し開けて換気する
- 日当たりを確保し、暗い場所での高温管理を避ける
といった点を意識すると、徒長をかなり防ぎやすくなります。
徒長の原因や対策、徒長してしまった苗を復活させるテクニックは、こちらの「野菜苗が徒長する原因と対策」の記事で詳しく解説しています!
②温度が思ったより上がらず発芽しない
逆に、「全然温まってくれない」「思ったほど発芽が進まない」というトラブルもよくあります。多くの場合、マット自体の不良というよりは、
- マットの下に断熱材を敷いておらず、下に熱が逃げている
- 設置場所が寒すぎて、マットの保温能力を超えている
- 上からの保温(フタ・ビニールカバーなど)が足りない
といった環境側の要因で、土の温度が思ったほど上がっていないケースがほとんどです。
対策としては、まず「マットの下に断熱材を入れる」「ビニールハウスの中や室内で使う」「温度計を育苗培土の中に差し込んで実測する」の3つを見直すのがおすすめです。同じ設定でも、断熱と保温をしっかりするだけで、土の温度が数度変わることも珍しくありません。周りの環境を整えてあげるイメージで調整してみましょう!
また、育てたい苗が少量の場合は「愛菜花」を使うのがオススメ!こちらは育苗器でサイズは小さいですが、その分保温力はこちらの方が上で狙った高温をキープしやすく発芽しやすいです。詳しくは以下の記事で解説しています。
③農電サーモを併用せず高温になる
農電園芸マット自体にはサーモスタット機能が無いため、状況によっては想像以上に温度が上がることがあります。マット単体で使っていた場合、断熱性の高い箱やビニールで覆った環境では、日中の外気温や日差しも加わり、苗にとって高すぎる温度になるようなケースです。
そこで重要なのが、農電サーモとの併用です!あらかじめ目標温度を設定しておけば、温度が上がりすぎたときに自動で電源が切れるため、「知らないうちに30℃以上になっていた」という事態を防ぎやすくなります。地温計を1つ置いて実測温度を確認しつつ、「マット+サーモ+地温計」をセットで運用するのが安全な使い方です!
④順化せずに植えつけると急激な環境変化で弱りやすい
農電園芸マットの上で育った苗は、下から温められ、風も少なく、夜間の冷え込みも和らいだ「ぬるま湯」のような環境に慣れています。その状態のまま、いきなり冷え込みのある畑やベランダに植えつけてしまうと、急な温度差と風に対応できず、植えつけ直後にしおれたり、しばらく生長が止まってしまったりすることがあります。
本来であれば、植えつけ前に数日〜1週間ほどかけて、少しずつ外気に触れさせる「順化(ならし)」の工程が必要です。例えば、
- 昼間だけビニールカバーを開けて外気を入れる
- 日中はマットの電源を切り、外気温に近づける
といったステップを踏んでおくと、植えつけ後のダメージをぐっと減らせます!
「マットで立派な苗ができたのに、植えたら急に元気がなくなった」という失敗の多くは、この順化不足が原因です。農電園芸マットは苗づくりを助けてくれる強力な味方ですが、「最後に環境を外に寄せてから植える」ことまでセットで意識するようにしましょう!
まとめ:農電園芸マット&農電サーモの使い方で大切なこと
ここまで、農電園芸マット&農電サーモの使い方や野菜苗の育苗手順、失敗しないコツなどについて、実際の栽培経験や写真を交えながら解説してきました。
- 「農電園芸マット」はヒーター内蔵の電気式育苗マットで、家庭菜園での野菜苗の育苗にピッタリ!
- 1枚0.5坪の広さで一度にたくさん育苗でき、農電サーモとの併用で温度管理がラク
- 発芽するまでは高温をキープ、発芽後は温度・湿度を下げ気味で管理する
- 本葉2~3枚頃にポリポットへ鉢上げし、植えつけ適期まで仕上げる
- 外気温に慣らす「順化」をしてから植えつけする
農電園芸マットは、冬〜早春の厳しい冷え込みのなかでも、発芽と育苗を安定させてくれる心強い相棒です。正しい敷き方や断熱の工夫、農電サーモとの併用による温度管理、そして「徒長させない」「順化してから植えつける」といったポイントさえ押さえれば、家庭菜園でもプロ並みに揃った苗づくりができます!
ぜひ本記事を参考に農電園芸マット&農電サーモで育苗にチャレンジしてみましょう!
農電園芸マットで育苗できる野菜の育て方はこちら!
本ブログでは、育苗後の野菜の育て方も紹介しています!ぜひあわせてチェックしてみてください。






