暑い暑い夏に欠かせない野菜と言えば、キュウリですよね!キンキンに冷やしてそのままかじりつくともう最高!サラダや漬物にしても美味しくいただけます。
今回は、そんなキュウリの栽培方法・育て方をご紹介します。

この記事は、以下のような人におすすめ!
- キュウリの定植時期や植え付け間隔を知りたい
- キュウリの仕立て方が分からない
- 病害虫対策に困っている
上手に栽培すれば、家庭菜園でも1株から100本以上収穫することが可能です!
この記事を読んで、一緒にキュウリを育ててみましょう!
キュウリとは

キュウリはウリ科の1年生つる性野菜です。つるに実ったウリを未熟なうちに収穫します。シャキットした歯ごたえと爽やかな香り、みずみずしさがたまらない野菜ですよね…!
語源は「黄瓜」とされていて、熟すと黄色くなります。昔は黄色く熟して食べられていたそうです。
家庭菜園初心者にキュウリ栽培をおすすめする4つの理由
キュウリは家庭菜園初心者にもぜひオススメしたい野菜の一つです。その理由について順番に説明します!
高温多湿を好み、日本の気候に適した野菜
キュウリの原産地はインド北西~ヒマラヤ山麓とされていて、生育適温は22~28℃、33℃までは普通に成長してくれます。日本の高温多湿な環境に適しており、家庭菜園初心者でも育てやすいです。

ただ、35℃以上の猛暑や12℃以下の低温には弱いので注意!
成長スピードが非常に早い
キュウリは成長スピードが凄まじいです!
植え付けた苗が活着した後はつるや葉をぐんぐん伸ばします。特に難しい管理をせずとも、しっかり肥料を与えていればキュウリ自身がすごい勢いで成長してくれますよ!

植え付けから約40日もすると収穫が始まるので、すぐに収穫できるのも嬉しいポイント。
水分だけじゃない?キュウリの栄養素
約95%が水分で栄養がほとんど無いと思われがちなキュウリですが、そんなことはありません!
下記はキュウリ100gに含まれる主な栄養素です。
水分 | 95.4g |
食物繊維 | 1.1g |
カリウム | 200mg |
ビタミンC | 14mg |
ビタミンK | 34μg |
水分以外で見ると、カリウムが比較的多く含まれているのが特徴です。カリウムは利尿作用があり、むくみ予防に効果がありますよ!その他、ビタミンCやビタミンKなどのビタミン類もきちんと含まれていて、低カロリーなのも特徴の一つ。夏には欠かせない野菜の一つです。
収穫したてのキュウリは格別!

スーパーや直売所などで購入しても美味しいですが、収穫したてのキュウリはみずみずしさや香りがやっぱり違います。ほんのり甘味も感じられます。
朝の畑で採れたキュウリにそのままかぶりついてみてください!これは家庭菜園をする者の特権ですよ!
キュウリの栽培スケジュール

キュウリの最適な定植時期は4月下旬~5月中旬です。
キュウリは高温多湿を好みますが、低温には弱く12℃を下回ると生育が停止してしまいます。特に霜には非常に弱く、一度当たると枯れてしまうので、霜の心配が無くなる4月下旬以降に定植するようにしてください。
定植から約1か月半ほどすると収穫が始まります。以降は定期的に追肥をしながら、上手く栽培すれば8月いっぱいまで楽しむことができますよ!

4月下旬以降でも遅霜が来る可能性もある。天気予報を良く見てから植えよう!
キュウリのおすすめ品種
病気に強い品種を選ぼう!
キュウリの品種を選ぶ際に重視したいのは、どれだけ”耐病性”があるか。
なぜなら、キュウリは病気が出やすい野菜です。病気が出ると回復は中々難しいですし、家庭菜園では農薬散布までする余裕も中々ないのではないでしょうか?
そこで、うどんこ病やべと病、ウイルス病への耐病性がある「VR夏すずみ」がオススメですよ!


濃緑色でツヤのある実が長期間にわたって収穫できる。べと病やうどんこ病に強く、ウイルス病への耐病性もあるので家庭菜園でも育てやすい!
キュウリの育て方7ステップ
キュウリの具体的な育て方は以下のとおりです。順番に詳しくご紹介していきます!
1.種まき&育苗(種から育てる場合)
キュウリを種から育てる場合の種まき&育苗方法の手順を説明します。
- STEP①
ポリポット(直径10.5cm)を用意し、種まき培土を入れる
- STEP②
一つのポリポットにつき種を2粒ずつ、深さ1cm程度の穴を等間隔にあけて蒔く
- STEP③
土をかけ、水をたっぷりやる。以降、乾かさないようにこまめに水やりをする。
- STEP④
種まきから2週間ほどで本葉が1~2枚になります。このタイミングで成長の良い株を1本残して残りを間引きます。
- STEP⑤
種まきから1か月ほどで本葉2~3枚になったら植え付け適期です。畑に植えつけましょう!
キュウリは生育適温である22~28℃を超えたり、日照不足になると徒長しやすくなります。
徒長した苗は病害虫に弱くなる他、そのまま畑に植えると風で折れる可能性も高くなってしまいます。徒長してしまうともう手遅れですので、育苗の段階からがっちりした良い苗になってもらう必要があります。
徒長させないポイントは「水管理」。朝にたっぷり水をやって、夕方には表面が乾く程度に水やりをすれば徒長しにくくなりますよ!
また、種まき時の覆土の代わりとして「イネニカ」を使うと胚軸の太いガッチリした苗になりますよ。

2.土づくり
「1.種まき&育苗(種から育てる場合)」と並行して土づくりをしておきましょう。
- STEP①
植え付けの1週間前までに以下の肥料をすきこみます。
土づくり時にすきこむ肥料- 堆肥 3~4kg/㎡
- 卵殻 200g/㎡
- 発酵有機肥料 250g/㎡
- ミネラル肥料 70g/㎡
- STEP②
幅65cmの畝を立て、その上に幅95cmのマルチを張っておきます。黒マルチを張ると、まだ気温が低い生育前半の地温を確保しやすくなり、初期生育を促進させることができます。シルバーマルチを張るとウリハムシをはじめとする害虫が寄り付きにくくなります。
時間があれば「太陽熱養生処理」をしておきましょう!詳しく解説している記事がありますので、参考にしてみてください。

太陽熱養生処理をすれば、あっという間に団粒構造の発達した”良い土”ができるよ!
3.定植
霜の心配が無くなったら、いよいよキュウリの定植です!以下の手順で定植していきましょう。
- STEP①定植する苗を用意する
「種まき&育苗(種から育てる場合)」で自ら育苗、もしくはホームセンター等で購入するなどして定植する苗を用意します。
いずれにしても、キュウリの苗を選ぶ際は「本葉2~3枚程度で節間が短く、葉色が濃くてツヤのある苗」を基準にしてください!
- STEP②植え付け間隔を決める
植え付け間隔はキュウリの仕立て方によって異なります。オーソドックスな3本仕立てで育てる場合は1m間隔が基本ですが、そこまで間隔が取れない場合は以下を参考にしてください。
3本仕立て 1m 2本仕立て 75cm 1本仕立て 50cm - STEP③定植する
植え付け間隔を決めたら、定植するための穴を掘ります。そこにたっぷりと水をやり、水が引いたら用意した苗を定植してください。
定植した後に大事なのは、苗が畑にしっかり活着してくれることです。
いくら良い苗を育てても、その畑に根付いてくれなければ意味がありません。例えば午後から雨が降る予報であれば午前中に植え付けを終わらせるなど、植え付け後に適度な雨が降るタイミングが理想です。カンカン照りの晴れが何日も続くような日は避けるのが無難です。
また、植え付け前に「リキダス」を薄めた水を苗にたっぷりかけると、根張りが良くなり苗が活着しやすくなるのでおすすめです!
4.支柱の立て方&ネット張り
定植したキュウリが畑に活着すると、ツルをどんどん伸ばしながら成長していきます。このようなつる性野菜には支柱とネットを用意して、そこにツルを這わせていきます。
以下の手順で支柱立て&ネット張りをしましょう!
- STEP①支柱とネットを用意する
支柱は長さ1800~2100mm、太さ16~20mmのものを用意してください。直径が太いほど強度が高くなります。
ネットは菱目が18cm以下、長さは必要な分があれば大丈夫です。菱目が小さいほど誘引しやすくなります。
- STEP②支柱を立てる
支柱の立て方にも様々な種類がありますが、畝が1列の場合は直立式、2列以上の場合は合掌式がオススメです!
イラストのように支柱を立て、交差している箇所はヒモでしっかり結んで固定してください。
- STEP③ネットを張る
立てた支柱にネットを張ります。これが中々難しいのですが、菱目が正方形となるように端から順に張っていくと綺麗に張れますよ!
5.キュウリの3本仕立て

キュウリには様々な仕立て方がありますが、おすすめは「3本仕立て」です。キュウリの3本仕立てとは、親づる1本と子づる2本の合計3本をメインに仕立てる栽培方法のこと。
3本仕立てにするメリットは以下のとおりです。
- 1株あたりの収穫量を多くすることができる(1株から100本の収穫を目指せる)
- 植える株数が少なくて済む
節なり性品種であれば、全ての節に実が付きます。さらに、各節から出てくるわき芽に1果ずつ実を成らせていくので、1節から2本のキュウリを収穫できるということです。
親づる子づるともに収穫できる節数をそれぞれ20節ずつだとすると…
20節(つる1本当たりの節数)×3本(親子1本+子づる2本)×2本(1節あたりの収穫本数)=120本
の収穫を目指すことができます!以下で具体的な3本仕立ての手順をご紹介します。
- STEP①親づるの誘引
伸びてきた親づる(主枝)は真上にまっすぐ誘引します。
- STEP②子づるの選定と誘引
親づるがある程度伸びてきたら、5~8節あたりで勢いの良い子づる(わき芽)を2本選定します。親づるの葉が重ならないように、間隔を空けてそれぞれネットへ誘引してください。
8節までに選定しなかったわき芽や実は全て取り除き、葉茎の成長を促します。
金太郎2本仕立ての場合は、小づるを1本だけ選定する。
1本仕立ての場合は、子づるは選定せずに親づるだけ伸ばす。他の手順は3本仕立てと基本同じ。
- STEP③わき芽の摘芯
親づるや子づるが成長するにつれて、各節からわき芽が出てきます。
わき芽は1果(1節)だけ成らせて、その先は摘芯してください!
2節3節育てたいところではありますが、それだと実が付きすぎて株が疲れてしまいますし、病害虫も発生しやすくなります。
- STEP④摘芯
20~25節まで成長しましたら、摘芯しましょう!
あまり高くまで成長すると収穫や管理が大変ですから、収穫しやすい高さで成長を止めてしまってください。
その後、1節で止めたわき芽からさらにわき芽(孫づる)が出てきましたら、そこからは放任栽培で構いません。成長するだけ成長させ、収穫しきって終わりにします。
ここまで、3本仕立ての方法をご紹介しました。この方法で栽培すれば、計算上は100本以上の収穫を目指せるとしましたが、実際には雌花が付いても落ちてしまうものもあって計算通りにはいきません。また、3本仕立ては管理に手間もかかり、慣れるまではちょっと難しい方法かもしれません。
そんな時は、家庭菜園初心者の方には1本仕立て(親づるのみ)もオススメですよ!1本仕立ては子づるの選定が不要で、親づる一本だけ管理していけばOK!そのほかの管理は上記と同様です。

栽培に慣れてきたら、3本仕立てにチャレンジしてみようかな。
6.収穫時期の見分け方

いよいよキュウリの収穫です!キュウリの収穫時期の見分け方は以下のとおりです。
- 開花してから約7~10日後
- 長さ20cm程度になったら
キュウリの成長スピードは非常に早いですが、実の成長もあっという間です。「収穫まではもう少しかな」「冷蔵庫にあるから収穫は今度にしよう」などと思っていると、次に見た時は2~3回りは大きくなっています。
そのまま実を成らせていると株自体のエネルギーも消費してしまいますので、収穫適期を逃さずに収穫してください!

収穫が遅れようもんなら、こん棒みたいなキュウリをお見舞いするぞ!?
7.追肥


キュウリを長く収穫するには、定期的な追肥とこまめな水やりが必要です。収穫が始まる頃を皮切りに、およそ2週間ごとに以下を追肥していきましょう!
- 発酵有機肥料 50g/㎡
- ミネラル肥料 20g/㎡
また、こまめな水やりも忘れずにしましょう!
キュウリは水分要求量が多い野菜のため、土は常に適度に湿った状態が望ましいです。特に、梅雨明け後は高温乾燥で水分不足になりやすいので注意しましょう!

「梅雨までは真っすぐで立派な実が成っていたが、梅雨明け後は実が曲がり出してさっぱり…」なんてことを経験された方は多いのではないでしょうか…?
実が曲がる原因は、水分不足や肥料不足、日照不足、高温や低温など様々な要因が考えられます。一概には言えないですが、特に夏の暑い時期には水分や肥料が不足しやすく、実の曲がりに繋がっているかもしれません。
こまめに追肥や水やりをすることで、キュウリが育ちやすい環境を整えてあげれば、真っすぐな実を長く収穫することができますよ!
キュウリの病害虫対策
キュウリは病害虫が発生しやすい野菜でもあります。
キュウリの主な病害虫は以下のとおり。予め対策をしておき、最小限の被害で済むようにしましょう!
ウリハムシ

体長7mmほどで黄褐色の甲虫。キュウリ畑に足を踏み入れるとブンブン飛び回る虫で、葉をリング状に食害されます。幼虫は根を食害するのでこいつも厄介。放っておくとウリハムシの楽園になりかねません…。
農薬を使わない対策方法
農薬を使わない主な対策方法は以下のとおりです。
- 捕殺する
- シルバーマルチを張る
ウリハムシは光の反射を嫌います。そこで、マルチを張る際にはシルバーマルチにすると寄り付きにくくなりますよ。
それでも発生する場合は捕殺しましょう!家庭菜園規模であれば、見つけ次第捕殺するだけでも効果はあります。特に朝は動きが鈍いので、捕まえやすいですよ。
おすすめ農薬
農薬を使う場合は、以下がオススメです。

合成ピレスロイド系殺虫剤。ウリハムシはもちろん、幅広い害虫を殺虫できる。ちょっと高いけど、収穫前日まで使え、ズッキーニにも適用できる。
うどんこ病

葉に発生する糸状菌(かび)による病気で、葉に白い粉をまぶしたように白い粉状のカビが発生するのが特徴です。初期は小さい斑点ですが、放っておくとあっという間に株全体に広がっていき枯れてしまいます。
農薬を使わない対策方法
農薬を使わない主な対策方法は以下のとおりです。
- うどんこ病に耐性のある品種を選ぶ
- チッソ肥料は控えめに
- こまめに摘葉する
品種を選ぶ際には、耐病性をチェックします。特に発生確率の高いうどんこ病には耐病性があると安心ですよ。
チッソが多すぎると耐病性が低下して発生しやすくなるため、チッソの入れ過ぎには注意しましょう!
また、葉茎が混み合っていても発生しやすいです。植え付け時には株間を十分にとり、その後もこまめに摘葉して風通しと日当たりが良い環境を整えてあげましょう!
おすすめ農薬
農薬を使う場合は、以下がオススメです。

うどんこ病はもちろん、様々な病気を防いでくれるオーソドックスな万能殺菌剤。とりあえずダコニールを持っておけば安心。
べと病

葉に発生する糸状菌(かび)による病気で、湿度が高いと葉裏にカビが生えるのが特徴です。葉脈に区切られ角張った黄色い斑点が出て、そのまま放っておくと葉全体が枯れてしまいます。
農薬を使わない対策方法
農薬を使わない主な対策方法は以下のとおりです。基本的にはうどんこ病対策と同じです。
- べと病に耐性のある品種を選ぶ
- チッソ肥料は控えめに
- こまめに摘葉する
おすすめ農薬
農薬を使う場合は、うどんこ病と同様に「ダコニール1000」がオススメです。
まとめ:キュウリ栽培で大切なこと
ここまで、キュウリの育て方をご紹介しました。
日本の気候に適した野菜の一つで、家庭菜園初心者でも育てやすい
低温に弱いため、霜の心配が無くなるゴールデンウィーク前後に定植
3本仕立てがオーソドックスだが、家庭菜園初心者は1本仕立てでもOK!
耐病性のある品種を選び、病害虫を発生させない環境づくりを心がける
キュウリはすごい勢いで成長するあまり、1週間も目を離すとあっという間につるがあちこちに伸びていたりします。管理に手間はかかりますが、それだけに収穫したてのキュウリは格別ですよ!
ぜひ本記事を参考にキュウリを育ててみましょう!