カレーや肉じゃがをはじめ、家庭料理には欠かせない”ジャガイモ”。育てやすく、収穫後は長期保存もできてオススメの野菜の一つです。
今回は、ジャガイモの有機栽培・育て方をご紹介します!
まずは品種選び
ジャガイモは食感によって大きく2つに分けられます。自分の好みのタイプを軸に品種選びをすると良いですよ!
ホクホク系
肉質が粉質で、煮崩れしやすいのが特徴です。ですので、ポテトサラダやコロッケなどの”潰す”料理に向いています!ただし、中には煮崩れしにくい品種もあります。
特にオススメな品種は「キタアカリ」です!栗のようなホクホクとした食感と、ほのかな甘みがたまりません。カロテンやビタミンCもたっぷりですよ。
個人的には、キタアカリであえて肉じゃがを作って、若干煮崩れし始めたくらいのドロっとした感じで食べるのが大好きです(笑)。
しっとり系
食感がねっとりしていて、煮崩れしにくいのが特徴です。カレーや肉じゃがをはじめとする煮込み料理に最適です!
特にオススメな品種は「インカのめざめ」です!小粒ですが、しっかりとした甘さと中が黄色いことから”栗じゃが”とも呼ばれています。
メークインはそこらへんで売ってますからね、せっかく栽培するなら、あまり出回っていない品種にしましょうよ!
栽培のポイント
ジャガイモは「イモ類タイプ」の野菜に分類されます。以下で詳しく説明しているので、まずはこちらをご覧ください!
その上で、イモ類タイプの中でも特に”ジャガイモ”栽培でのポイントを以下のとおり補足します。
初期肥効を高めて、太いストロンを多く確保
ジャガイモは地下の茎からストロンというわき芽の先端が太ったものです。出芽後、20日程でその先端部分の肥大が始まり、開花前から養分が蓄積され、イモが肥大していきます。ですので、栽培初期にストロンを数多く出してもらい、しかも太くなってもらうのがポイントです。
そのために、元肥はC/N比が低く(チッソ分が多く)、水溶性で即効性があるものを選びましょう。同様に、堆肥もC/N比の低い(15~20くらい)ものが良いでしょう。
具体的にはどんな元肥・堆肥がいいの?
元肥は追肥向けの魚粉主体の有機発酵肥料が良いね。栽培初期に肥効を高められて、イモの肥大期には肥効が切れてきます。堆肥は牛糞堆肥がベスト。
追肥は不要
基本的に追肥は不要です。元肥や堆肥からのチッソ分で栽培初期から開花期にかけてじっくり肥大させ、その後は肥効が切れるようにします。
季節によってミネラルバランスを調節
春ジャガと秋ジャガでミネラルバランスを変えます。
春は石灰・苦土・カリの割合を5:2:1にします。春ジャガは春~梅雨時期にかけて栽培するので、気温や地温は比較的高く、十分にイモの肥大は進みます。石灰の割合を高くして生育を引き締めましょう。
一方で、秋ジャガは石灰・苦土・カリの割合を4:2:1にします。秋ジャガは夏~晩秋にかけて栽培するので、気温や地温は徐々に低くなります。ですので、カリの割合を高めてイモの肥大を進めます。
苦土は栽培期間を通じて不足しないように注意しましょう。イモは光合成の産物そのもの。いくらストロンを多く確保しても、そこに入れるものが無ければ持て余してしまいますからね。その他、鉄やマンガン、ホウ素、銅などが重要な微量要素で、これらがバランスよく配合されたミネラル肥料を選びましょう。
種イモの切り口は上に
切り口を上にするか、下にするかで様々な議論があります。迷ったら上にしましょう!
切り口を上にすると、芽はいったん下向きに出た後、上向きに方向転換して地上に目を出します。このようにカーブして地下茎が長くなるため、またここでかかるストレスなどによりストロンの数が多くなりやすいと言われています。また、出てくる芽の数が少ないので芽かきの労力も少なく済みます。
種イモの準備
浴光催芽(植え付けの1か月ほど前)
植え付けの1か月ほど前に種イモを購入し、日中日光を浴びせて芽を出してもらいます。芽が1cmほどの大きさになったら完了!
この時期の夜間は気温がかなり低いので、毛布をかけたり部屋の中央部などに置くなどして痛まないように注意しましょう。
植え付け前にこんな事をしなきゃいけないの?
必ずしもやらなきゃいけない訳ではないけど、浴光催芽をすると発芽が揃ってその後の生育がスムーズに進みやすくなるよ。
種イモの大きさ調整(植え付け2~3日前)
浴光催芽が完了したら、1片30g~40gほどの大きさになるよう切り分けます。この時、芽の数がおおよそ同じになることがポイント。切ったら切り口を日光に浴びせて2~3日乾燥させます。キタアカリなど、小ぶりの種イモはそのまま植え付けでOK。
時間がなくて、種イモを切った日にそのまま植え付けたい場合は?
そのまま植え付けてしまうと病原菌が入り込みやすくなってしまうよ。そんな時は切り口に草木灰やジャガイモ専用の切り口処理剤をつけると良いよ。
植え付け
種イモの準備が完了したら、植え付けです!ジャガイモを1列栽培するための畝幅は65cmとし、その中央に幅15cm、深さ15~20cmほどの溝を掘ります。
その溝に、種イモを30cmほどの間隔で置いていきます。自分の足の大きさを目印に、それより少し余裕を持たせて並べると良いでしょう。なお、栽培のポイントで触れたように、切り口がある場合は上にします。
種イモの間に、以下の堆肥と元肥を置いていきます。
土を埋め戻したら植え付け完了です。植え付けた場所が分からなくならないように気を付けてくださいね!なお、水やりの必要はありません。
芽かき
出芽後、3週間後くらいの芽が出そろったタイミングで「芽かき」をします。生育の良い芽を2~3本残して、それ以外を抜き取ります。
初めてやるとこれが結構難しいです。抜き取ろうとする芽が途中で折れてしまうと、わき芽が出てきてしまいます。途中で折れないよう、根元をしっかり押さえた上で抜き取るとスッと抜けますよ!
出芽して3週間後は、イモの肥大が始まる時期です。芽かき後は畝の断面が「かまぼこ型」になるようなイメージで土寄せを行い、地下でしっかりと肥大してもらう環境を作ります。少なくとも、イモができる位置の10cm以上の高さになるまで土寄せするといいですね。
芽かきをしないとどうなるの?
イモの数は増えるけど、1個1個が小さくなるね。あまり小さすぎると「ソラニン」という有害物質ができて食べられないため、しっかり肥大させるようにしよう。
収穫!
全体的に葉茎が黄色く枯れてきたら収穫のタイミングです!天気のいい日を選び、午前中に掘り取って、日中は天日に当てて乾かします。ある程度乾いたら土を軽く落として冷暗所で保存しましょう。
せっかく栽培して保存しても、緑化したり腐らせちゃうことが多いんだよね…。貯蔵のコツは?
保存するときは収穫してもイモは生きているんだよ。イモを重ねて保存したり、ビニール袋などに入れて密封状態になると酸欠で腐敗の原因になる。紙の米袋は遮光性がありつつ、通気性もあってオススメ。ビニールに入れるなら、何箇所か穴を開けて換気できるようにするのがいいし、段ボールでもいいね。
水洗いすると長持ちしない。土付きの状態で保存するのがいいよ。
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